〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会
■平成19年度「100人委員会」開く

「日本文化と日本酒の再生」支援へ、結成後第2回目の会合

全員で「日本酒で乾杯!」 平成19年度の「100人委員会」(石毛直道代表)が、5月23日の午後、千代田丸の内の東京會舘で開催されました。各界著名人による「日本酒で乾杯推進運動」の支援組織として結成されて以来、同会の開催はこれで2回目。会議では、日本酒で乾杯推進会議の今年度の活動計画などが報告されたほか、京都大学大学院の伏木亨教授と健康科学大学の折茂肇学長(いずれも100人委員会委員)が興味深い講話を披露。会議の終了後には全員で「日本酒で乾杯!」を行い、日本文化と日本酒の再生へ向け、懇談のひと時をすごしました。

 
伏木亨教授 折茂肇学長
伏木亨教授 折茂肇学長
 

●メンバー数は84名に。着々と体制固め

日本酒で乾杯推進会議運営委員会 会合

 "日本酒と日本文化のルネサンス"をめざす中央会の「日本酒で乾杯推進運動」。その運営母体となる「日本酒で乾杯推進会議運営委員会」(西村隆治委員長)の中に100人委員会が設置されたのは平成17年。以後、文化、芸術、医学など、次々と各界著名人の賛同を得て、メンバー数もこの5月現在で84名に達するなど、強力な支援組織として着々とその体制を固めつつあります(現在までの委員の異動は次のとおり。斎藤茂太氏〈元アルコール健康医学協会会長〉、安達曈子氏〈華道家元〉、椎名素夫氏〈元参院議員〉がご逝去され、新たに、阿部啓子氏〈東京大学大学院教授〉有馬賴底氏〈臨済宗相国寺派管長〉、奥原祥司氏〈日本青年会議所会頭〉、千宗左氏〈表千家家元〉、中島宝城氏(宮内庁歌会始委員会参与)、中村靖彦氏〈東京農業大学客員教授、農政ジャーナリスト〉、八角信芳氏〈(財)日本相撲協会 第61代横綱・北勝海〉、浜美枝氏〈女優〉、松野昂士氏〈北里大学教授〉が入会)。

石毛直道代表
石毛直道代表

 今回の会合には、石毛直道代表ら主だったメンバー21名のほか、中央会から辰馬会長、淺見副会長、西村委員長らが参加。
 冒頭、挨拶に立った石毛委員長は、「日本酒の消費は国内では低迷しているものの、海外では日本食ブームに伴って好調な伸びを示している。ニューヨークでは日本料理のレストランが800軒を超え、日本酒の品揃えも豊富で、かつてのように燗酒ばかりでなく、冷酒や酒カクテルも用意されている。日本酒はいまや名実ともに世界の酒となった。国内でも、和食の質的な変化に合わせて、肉に合うタイプなど特徴ある酒の開発を進めつつ、酒の文化と和食の文化をセットで考えていけば、もっともっと日本酒は飲まれるようになるだろう」と述べて、より広い視野に立った清酒業界の活動に期待を示しました。

参加者の顔ぶれ(50音順、敬称略)
秋山 裕一 日本醸造学会会長
石毛 直道 国立民族学博物館名誉教授
折茂 肇 東大名誉教授・健康科学大学学長
金子 ひろみ 管理栄養士・日本酒スタイリスト
神崎 宣武 民俗学者
木村 克己 ソムリエ・日本酒スタイリスト
兒玉 徹 東京大学名誉教授・日本醸造学会会長
阪田 美枝 2000年紀和紙委員会事務局長
佐佐木 幸綱 早稲田大学教授
佐藤 陽子 バイオリニスト
島田 律子 タレント・エッセイスト・日本酒スタイリスト
高橋 竹山 津軽三味線伝奏者
手島 麻記子 テーブルコーディネーター・日本酒スタイリスト
中島 宝城 宮内庁歌会始委員会参与
浜 美枝 女優
藤 ジニー 銀山温泉・旅館藤屋女将
本多 京子 管理栄養士・日本体育大学女子短期大学講師
藪内 佐斗司 彫刻家・東京芸術大学大学院教授
山本 祥一朗 評論家
家森 幸男 武庫川女子大学国際健康開発研究所長
吉澤 淑 前東京農業大学教授
 

●10月2日に総会・フォーラムを開催

西村委員長
西村委員長

  会議はこの後、(1)西村委員長による「日本酒で乾杯推進会議」の活動報告、(2)講話(1.「おいしさの科学」京都大学大学院農学研究科 伏木亨教授/2. 「我が国の医療危機を救うためには国民的議論が必要」 健康科学大学(東京大学名誉教授) 折茂肇学長)、(3)意見交換、の順で進行。
このうち、西村委員長は今年度の活動計画について、10月2日に開催を予定している日本酒で乾杯推進会 西村委員長 議の「総会・フォーラム・懇親パーティ」(東京會館)の概要を説明したほか、10月11日には、昨年の岡山大会に続き山形県での地方大会を開催する予定であること、「乾杯の文化史研究会」の研究成果を9月までに出版できる見通しとなっていることなどを報告(別掲参照)。 また、100人委員会設立時の発起人を「代表委員」として別立てにしていたこれまでの制度を廃止し、「一般の委員として統一するとともに副代表は置かないこととしたい」と組織の改正について提案し、会員の了承を得ました。

●平成19年度活動計画の概要
1. 総会・フォーラム・懇親パーティの開催
  平成19年10月2日(水)16時〜20時30分
  (東京會舘)
  参加人員:500名〜600名(予定)
  フォーラムタイトル
  「乾杯三態〜日本のかたち、日本のこころ〜」
2. 会員の拡大と運営
  1.ホームページ等の運営
   「日本酒で乾杯推進会議」のホームページ
(日本文化のルネッサンスを目指す〜 日本酒で乾杯推進会議
http://www.sakedekanpai.jp)を運営して、会員の拡大を図るとともに
日本酒で乾杯運動に関する情報発信を行う。
 また、ホームページのコンテンツを充実させる。
  2.メールマガジンの配信
   会員に対してタイムリーに情報を提供するため、メールマガジンを配信する。
  3.会員登録への対応
   会員登録をスムーズにするため、携帯電話用の会員登録サイトを運営する。
3. 日本酒で乾杯推進運動の地域展開
  日本酒で乾杯推進運動の全国的な展開を図るため、
平成19年度は10月11日(木)に山形大会の開催を予定している。
4. 「乾杯の文化史研究会」の活動
  乾杯の起源や作法・歴史の解明などを目的に平成17年度に発足した
「乾杯の文化史研究会」の研究成果を書籍にまとめ、9月に出版する(予定)。
 

●伏木・折茂両氏の講話の概要

「おいしさの科学」について講義する伏木亨教授
「おいしさの科学」について講義する伏木亨教授

 京都大学の伏木亨教授と健康科学大学の折茂肇学長による講和2題のうち、伏木教授のお話は、人が「おいしい」と感じる科学的なメカニズムを分析したユニークな研究について概説したもの。 この中で伏木教授は、おいしさを決定する4つの理由として「生理的欲求・食文化・情報(CMなどの刷り込み)・味(脂・砂糖・だし)」を挙げたうえで、「だしの研究は今後の日本酒にとって非常に大切なテーマになる」と指摘。中でも、日本独自のかつおだしは、香りと旨みで油脂の濃厚な味に唯一対抗できるものであり、 「日本酒になくてはならない味であると同時に、日本酒自体もさらに和食をおいしくする関係にある」として、「人間の味覚が形成される幼児期の頃からだしの美味しさを覚えさせることは、日本酒の将来に大きな意味を持つ。日本酒と和食は同じ運命にある」と重要な問題を提起しました。

医療の危機回避を訴える折茂学長
医療の危機回避を訴える折茂学長

 一方、折茂学長の講話は、日本の医療の現場で進む危機的な状況について警鐘を鳴らすとともに、その危機回避のための具体策を提言した内容で、折茂学長はまず「日本の医療は、国際的に見ても少ない医療費にもかかわらず、医療従事者の献身的努力に支えられWHOから高い評価(2002年の健康達成度総合評価1)を受けるような水準(平均寿命、健康寿命世界一、乳幼児死亡率世界最低)を維持してきたが、医師不足、地域格差の拡大、医事紛争による医師の士気低下と萎縮など、崩壊の危機に晒されている」と現状報告。その上で、「この医療の危機を救うためには、医療費抑制政策を見直し、社会保障への国庫支出額を増やすことが必須だ。日本酒をおいしく飲むためにも、医療の現場を再生し人々の健康を守らなければならない」と訴えて、出席した委員各位の理解を求めました。

 

●全員揃って「日本酒で乾杯!」

辰馬会長
辰馬会長

  講話に続いて行われた意見交換の場では、「邦楽とタイアップしたイベントの開催」など、100人委員会の今後の活動について委員の中から具体的な提案が示され、最後に辰馬会長が「会員数も1万2000人に達するなど、日本酒で乾杯運動の輪は着実に広がりつつある。風土に合った日本酒、その多様性を大切にしつつ、日本の精神風土を美しくするような運動として、全国に浸透させていきたい」と挨拶して、会議をしめくくりました。

「日本酒を味わう会」の模様
「日本酒を味わう会」の模様

 また、100人委員会の終了後に開かれた懇親の集い「日本酒を味わう会」では、冒頭、石毛代表の発声により出席者全員で「日本酒で乾杯!」した後、会場に用意された全国各地の日本酒を味わいながら、運動のさらなる展開へ向けて、歓談のひと時を楽しんでいました。

 

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