〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会
■平成20年度「100人委員会」

今秋の「乾杯のかたち」提案へ向け、活発な意見交換も

100人委員会の模様
100人委員会の模様

 平成20年度の100人委員会(石毛直道代表)が、5月19日の午後、千代田区・丸の内の東京會舘で開催されました。会議では、日本酒で乾杯推進会議の今年度の活動計画報告や、100人委員のひとりである宮内庁歌会始委員会参与の中島宝城氏による講演(「宮中の儀礼と酒」)などのほか、10月2日開催予定のフォーラムのテーマである「乾杯のかたち」をめぐって活発な意見交換も行われました。また、会議終了後には懇親会(日本酒文化を味わう会)も開かれ、“日本酒と日本文化のルネサンス”をめざす運動のさらなる進展へ向けて結束を誓い合いました。

 
講演中の中島宝城氏 「日本酒文化を味わう会」冒頭の乾杯風景
講演中の中島宝城氏(左) 「日本酒文化を味わう会」冒頭の乾杯風景(右)
 

●「カッコいい日本人」の条件は日本酒を語れること(石毛代表)

石毛直道代表
石毛直道代表

 文化、芸術、医学など各界著名人による「日本酒で乾杯運動」の支援組織として、平成17年に発足した「100人委員会」以降、運動の母体となる「日本酒で乾杯推進会議運営委員会」(西村隆治運営委員長)との連携のもと、その活動は着実な広がりを見せています。昨年発刊された『乾杯の文化史』(乾杯の文化史研究会)は、その具体的な成果のひとつ。また、運動の主旨に賛同して委員会に名を連ねる著名人の数もこの5月で86名に達しており、昨年は(社)日本青年会議所会頭の小田與之彦氏、『乾杯の文化史』の執筆者の一人で東京外国語大学教授のクリスチャン・ダニエルス氏、歌舞伎俳優の中村富十郎氏の3名が新たに入会されました。

 今回の会合には、石毛直道代表ら主だったメンバー17名のほか、中央会から辰馬会長、淺見副会長、西村運営委員長らが参加。石毛代表の開会挨拶に続いて、①西村運営委員長による「日本酒で乾杯推進会議」の活動報告、②神崎宣武氏(乾杯の文化史研究会座長)による『乾杯の文化史』出版報告、③中島宝城氏(宮内庁歌会始委員会参与)による講演「宮中の儀礼と酒」、④意見交換、というプログラムで会議が進められました。

 このうち、冒頭の挨拶に立った石毛代表は、「アメリカでは日本文化のカッコよさがブームになっていて、ジャパンクールという言葉も使われている。日本酒もその一翼を担う食文化のひとつであり、最近はフランスレストランで日本酒を注文する人が出てきたり、カクテルパーティーで日本酒が使われたりと、知識人、ハイブローな人々の間で日本酒ファンが増える傾向にある。日本国内では若者の酒離れが続いていると言われるが、こうした海外での日本酒への評価の高まり、あるいは日本酒について語れることがカッコいい日本人の条件と見られるようになっていることを、ぜひ若者に認識してもらいたい」と発言。また、「日本酒は冠婚葬祭にわたる日本文化の核心であり、そうした日本文化の行事を活性化することで、日本酒で乾杯運動の推進になる」と述べて、各界で活躍する100人委員のさらなる協力を呼びかけました。

参加者の顔ぶれ(50音順、敬称略)
秋山 裕一 (財)日本醸造協会顧問
飯田 博 (株)岡永代表取締役会長授
石毛 直道 国立民族学博物館名誉教授
奥村 彪生 伝統料理研究家
加来 耕三 歴史家・作家
金子 ひろみ 管理栄養士・日本酒スタイリスト
神崎 宣武 民俗学者
北本 勝ひこ 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
兒玉 徹 東京大学名誉教授・日本醸造学会会長
阪田 美枝 『日本の酒造り唄』著者・2000年紀和紙委員会事務局長
島田 律子 タレント・エッセイスト・日本酒スタイリスト
滝澤 行雄 秋田大学名誉教授
中島 宝城 宮内庁歌会始委員会参与
中西 進 京都市立芸術大学名誉教授
中村 靖彦 東京大学客員教授
本間 千枝子 作家
山本 祥一朗 評論家
 

●10月2日「総会・フォーラム」、10月15日「佐賀大会」

西村運営委員長
西村運営委員長
神崎委員
神崎委員

  続いて、西村運営委員長による「日本酒で乾杯推進会議」の活動報告を行い、今年度の活動計画について、10月2日に開催を予定している「総会・フォーラム・懇親パーティ」(東京會舘)の概要を説明したほか、10月15日には、一昨年の岡山大会、昨年の山形県に続いて、佐賀県での地方大会を開催する予定であることを報告。さらに、今年から「乾杯をテーマとしたエッセイを100人委員に依頼してホームページにシリーズ掲載していきたい」と提案し、委員の了承を得ました。


●平成20年度活動計画の概要
1. 会員の拡大
  当面3万人を目指す。
2. 総会・フォーラム・懇親パーティの開催
  日 時 平成20年10月2日(木)16時〜20時30分
会 場 東京會舘
テーマ 『乾杯のかたち』〜日本のかたち、日本のこころ
3. 地方大会(佐賀大会)の開催
  日 時 平成20年10月15日(水)16時30分〜20時15分
会 場 第1部フォーラム 佐賀県立美術館ホール
           第2部懇親会   佐賀県立佐賀城本丸歴史公園
4. 支持基盤の拡大
  関係機関・諸団体に働きかけ「日本酒で乾杯」運動の基盤拡大を図る。
5. インターネット・メディアの展開
  「日本酒で乾杯推進会議」のホームページ(http://www.sakedekanpai.jp)を充実させるとともに、会員に対する情報提供サービスとして、メールマガジンを充実させる。
6. 「乾杯のかたち」の研究と提案
  日本酒で乾杯運動の推進を図るため、「乾杯のかたち」の研究と提案を行う
 

●中島氏の講演概要

中島宝城氏の講演風景
中島宝城氏の講演風景

 中島宝城氏の講演「宮中の儀礼と酒」は、宮中の儀式や宴において酒がどのように使われているかを、①国の儀式(新年祝賀の儀、勲章親授式、認証官任命式、即位の礼など天皇の国事行為に関わるもの)、②皇室の公的儀式(歌会初め、天皇誕生日祝賀の儀、大葬の礼、大嘗祭など)、③皇室の私的儀式(新嘗祭、神嘗祭などの宮中祭祀、大祓など)、の3つに大別して珍しいビデオ上映などを交えながら説明したもので、神崎委員が課題として指摘した「宮中儀礼と乾杯の関わり」を考察する上でも、貴重な情報の多い講演となりました。

 お話の中で中島氏は、宮中儀礼の中に日本酒が登場する場面として、天皇誕生日の祝賀の儀、大葬の礼、大嘗祭などを取り上げ、「天皇誕生日の祝賀の儀では、祝賀の後の宴会の儀で日本酒が出され、冒頭内閣総理大臣の祝辞のあと全員で乾杯を行う。また、大嘗祭では、大嘗宮の儀の後の直らいの宴(大饗の儀)で秋田県と大分県の斎田から献納された米で造った白き・黒きが参列者に供されるが、その味の素晴らしさにお代わりがあいつぐほどだ」などと興味深いエピソードを披露。

 また、こうした儀式とは別に国賓接遇における宮中晩餐の模様についても言及し、「豊明殿で行われる本席では、乾杯はシャンペンとワイン、食事中も原則としてワインが中心だが、あるときから日本酒も出されるようになり、外国の賓客もたいへんおいしそうに召し上がっている」として、宮中晩餐のあり方にも少しずつ変化が見られることを感じさせました。

 最後に中島氏は、「日本酒は日本文化の究極、原初に位置するものであり、お酒を飲むと脳が活性化して魂が喜ぶ。次回の100人委員会では、古い物語に出てくる酒と歌舞い、酒と遊びといった視点でぜひ誰かに講演してもらいたい」と述べ、今後の100人委員会にとって「日本文化の原点としての日本酒の探求」も大きなテーマになることを示唆しました。

 

●「乾杯のかたち」めぐり具体的アイデアも

中島氏の講演に続いては、10月の総会・フォーラムで「乾杯のかたち」を提案する予定になっていることを受け、各委員が具体的なアイデア・質問を出し合って意見を交換。主な発言は次のとおりです。

辰馬会長
辰馬会長

「国賓の接遇などでお酒を飲むときに乾杯の掛け声などはどうなっているのか」(中西委員)
「特別な乾杯の掛け声はなく、起立して来賓に向かって軽く盃を掲げる程度。そのタイミングも雅楽と同様、阿吽の呼吸で合わせる」(中島委員)
「座って乾杯する場合と起立する場合と分けて考えなければならない。座礼の場合、燗酒の徳利とお猪口が一般的かもしれないが、カクテルパーティーや椅子式の宴会などは冷酒が多い。この場合、器についてもデカンタのようなものやシャンペンバケットのようなものを考案するのか考えなければならない」(石毛代表)
「宴席などに出ると乾杯に入るまでの時間が楽しくない。照明や音楽伴奏を工夫するなど、若い人が新鮮さを覚えるような乾杯の演出、楽しみ方を考えていく必要がある。料理の器への配慮なども含めトータルで考えないと若者はついてこない」(奥村委員)
「日本酒文化を世界の人々に理解してもらうために、乾杯という言葉の意味づけを考えた上で、それにふさわしい英訳をする必要がある。また、若者対策としては、節句の酒、木の芽酒、菊酒といった季節の酒の復活を考えるべきだ。日本の文化は季節を重んじるということは海外でも知られているし、ファッション性も出てくると思う」(本間委員)

なお、会議では参考として、日本酒で乾杯推進会議のホームページで実施した「乾杯についての会員アンケート」結果も紹介されました(「印象的な乾杯の事例」「理想的な乾杯のスタイル」などを尋ねたもので、理想的なスタイルとしては「肩から鼻の高さまで杯を掲げ乾杯の発声と同時に少し杯を上げる」「心を正して、清々しい気持ちで升で乾杯したい」「乾杯の酒はアルコール度が低くすっと飲めるもの。持ちやすくささげてもお酒のこぼれる心配がない乾杯用グラスもあるといい」などの声が寄せられている)。

「日本酒文化を味わう会」の模様
「日本酒文化を味わう会」の模様

 会議の最後には辰馬会長が挨拶に立ち、「北海道では、7月の洞爺湖サミットへ向けて日本酒のPRが盛んになっており、『彩華洞爺』という統一ブランドも開発されて売行き好調と聞いている。これからも各地で開催される国際会議などで国酒・日本酒を楽しんでもらえるよう、今日いただいた貴重なご意見を糧に乾杯運動推進に取り組んでいきたい」と述べて、さらなる運動展開への決意を示しました。

100人委員会の終了後に開かれた「日本酒文化を味わう会」では、冒頭、石毛会長の発声により「日本酒で乾杯!」の杯を掲げた後、会場に用意された全国各地の日本酒を味わいながら、出席者全員で歓談のひと時を楽しみました。

 

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会議終了後の歓談のひととき
 
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