●今後の運動の方向をめぐり意見交換。具体的な提言も
|
辰馬会長 |
最後に行われた意見交換の時間では、「今年は日本酒で乾杯運動がスタートして5年という節目の年。これを機に運動のあり方、進め方をもう一度見直して、必要があれば新たな視点を取り込んでいきたい」と淺見副会長が述べたのを受けて、各委員が今後の運動の方向をめぐって具体的な提言などを行いました。主な発言の内容は次のとおり。
「たくさんの人が集まって乾杯するようなシーンでは、場所もホテルだったり料理も西洋料理だったりという場合が多く、日本酒で乾杯という発想自体が生まれにくい。日本酒で乾杯にふさわしい料理の合わせ方などを考え、サービス業に対して提案できたらよいと思う。また、地域経済や日本酒そのものの底力となっている“小さくてもキラッと光る蔵”に陽が当るような取り組みで、地域の活性化、観光の振興につなげたい」(池坊由紀氏)
「日本酒は二日酔いになりやすく焼酎は後に残らない、という一種の都市伝説が未だに根強い。日本酒を広めていくためにはこの払拭が不可欠だ。また、日本酒で乾杯推進会議の総会が開かれる10月2日は、2016年夏季オリンピックの開催地が決まる日でもある。もし東京に決定したら、乾杯推進会議としても何らかの働きかけをしていくべきだ」(小田與之彦氏)
「日本酒は翌日に残るというが、酔いの医学から言えば問題はあくまでアルコールの摂取量だ。高濃度のアルコールを水で割る酒は、長時間かけて大量に飲んでしまうため肝がんや肝硬変が多い。水で薄めない日本酒は2〜3合飲めば体が止め時を教えてくれる。最近は、ワインや日本酒を適量(1日1〜2合)毎日飲む人に認知症が少ないということも話題になっている」(滝澤行雄氏)
会議の最後には辰馬会長が挨拶に立ち、「物豊かにして心貧しい日本。私は心の温暖化こそ必要だと考えている。他人への思いやりと声明の尊厳を忘れたら自滅の道を歩むしかない。我々は生き物の節度を身につけなければならないのであって、お酒も節度を持って飲むことが大切だ。こういう思いを運動にブレンドして、100人委員会の方々とともに、美しい日本の精神風土のルネッサンスをめざしてパワーアップしていきたい」と述べて、運動のさらなる深化へ向けて強い決意を示しました。 |