●中身の濃いトークを繰り広げたフォーラム
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クライナー・ヨーゼフ氏 |
西舘好子氏 |
小笠原清忠氏 |
浜美枝氏 |
神崎宣武氏 |
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夫人の介添えで小笠原流古式凱旋式の 模様を再現する小笠原氏 |
「乾杯の心〜日本のかたち、日本のこころ〜」と題して行われフォーラムでは、100人委員で民俗学者の神崎宣武氏と、同じく100人委員で農政ジャーナリスト・女優の浜美枝氏をホスト役に、パネリストの3氏(礼法小笠原流三十一世家元の小笠原清忠氏、法政大学特任教授のクライナー・ヨーゼフ氏、NPO法人日本子守唄協会代表でエッセイストの西舘好子氏)が、中身の濃いトークを展開。
初めに神崎氏が「これまでのフォーラムでは乾杯の形にこだわって議論してきたが、今回は乾杯の心に光を当ててみたい」と討論の方向を設定したのを受けて、「ヨーロッパでは乾杯のときに相手の健康のためにという気持ちを込める。日本のように神様に何か祈念するという意識はあまりないが、そういう気持ちも潜在していると思う」(クライナー氏)、「お酒にはもともと体にいい良薬という側面がある。それが相手の健康を祈るという気持ちにつながるのではないか」(西舘氏)、「感謝の心を持ちつつ美しい形で乾杯することが大切」(浜氏)などの意見が示されたほか、討論の途中には、小笠原氏が日露戦争から凱旋した東郷大将歓迎会(明治38年)で行われた小笠原流古式凱旋式の模様を再現。酒礼の形がそれまでの座礼から立礼へと移行する過渡期の事例として、参加者の注目を集めました。
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それぞれの乾杯。 着物での乾杯は袂さばきの美しさがポイント |
また、パネリスト3氏もそれぞれのイメージで「時代に合った乾杯のスタイル」を披露。最後に神崎氏は、「いまこの時点では新しい乾杯の作法を統一的にみなさんにお示しすることはできないが、何かを祈り、願い、祝うという心を持てば、自ずとそれにふさわしい形が生まれてくる」とした上で、「ビールでの乾杯のように、肩を大きく動かさず、むやみに杯を合わせない。目線の高さで杯をとどめ目線に心を込めて相手への敬意を示す。このことを今日の提案としたい」と述べて討論を締めくくりました。
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