〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
秋山裕一氏秋山裕一(あきやま ひろいち)氏
1924年、山梨県酒造家に生まれる。1947年東大卒、5年間発酵学教室で坂口謹一郎教授に師事。国税庁醸造試験所に入り、1982年同所所長を退職後、協和発酵、醸造協会、醸造学会会長を勤め、2006年すべてを辞す。この間、科学技術庁長官賞、紫綬褒章、学会賞をいただく。主な著書は『日本酒』(岩波新書)、『酒造りの不思議』(技報堂)など。

さけ造りと日常生活
 

 乾盃は日常生活の喜び、晴の日を象徴する行事です。結婚式や長老のお祝いの乾盃はほんとに楽しいものです。さけと毎日の生活の二番目の結び付きは、家庭での晩酌、帰りの一杯でしょうか。土曜とか日曜日だけでも家庭での団欒の一杯をと願う者です。

 技術屋の私としては、さけ造りの中に毎日の生活につながることが多いので、一杯の時の話題になればと思い書く次第です。
 まず、水です。日本人は水を大切にします。山の地層と木と雨に恵まれている日本には、どこにもよい、うまい水が湧きます。名水百選の湧水地の近くには酒屋があります。和ぎ水(やわらぎみず)も楽しんでください。
 次は米です。米は温暖な日本のどこにでもとれ、これがさけ造りとなったと思います。さけを造る時は、白米をよく洗って、蒸します。その所要時間は約15分です。これは冷たい米に蒸気が当たって、米の芯まで100℃になるまで、15分かかるということです。ご飯を炊く時、電気釜の通電が切れて、食べてもよいサインが出るまでの時間、一度、確認していただけませんでしょうか。上記の蒸らしの理論時間とほぼ同じだと思いますので。
 次は麹菌の力の話です。高峰譲吉博士は消化剤のタカジアスターゼを発明した方で、麹菌を麩(ふすま)に生した麹で、コーンを糖化し、アルコールを製造したが、これは人間のお腹の中の消化と同じ現象であるとの考えから、この大発明を完成させました。110年も前のことです。さけは米に麹菌を生育させて、米を糖化し、酵母で発酵させて造るから、原理は同じで、2000年も前からやってました。麹菌の力は偉大です。

 も一つ大事なことは清潔です。細菌は水分が多く、よごれたところで、温度が高い時によく繁殖します。夏に病気が多い理由です。清潔の条件の1つは乾燥です。も1つ、細菌を殺す条件を利用すること、よく煮ることですが、さけの場合には、60℃の低温殺菌が可能です。サケにはサケにしか生えない火落菌(ひおちきん)という細菌がいて、油断すると大損害をうけます。ワインではフランスのパスツールが約150年前に60℃殺菌法を実用化したのですが、日本では440年も前に実用の記録があり、伝えられて来ました。壜詰製品の出荷にはあらゆるところに気を配っていないと、微生物に油断は出来ません。人の健康と同じです。
 健康でおさけをおいしく。

 
 
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