〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
金子ひろみ氏金子ひろみ(かねこ ひろみ)氏
料理研究家、管理栄養士。アトランタ五輪やシドニー五輪で女子マラソン選手の食事サポートを行う。また一般の方を対象に健康や美容に良い食事方法や日本酒スタイリストとして、体に負担をかけない日本酒の飲み方とおつまみの作り方をセミナーやOsakeテラピーのHPで伝える。著書に『体脂肪を減らして肥満を解消する』(法研)、『酢てきなごちそう』(集英社)『毎日食べる健康お酢レシピ』(PHP出版)など。

乾杯エッセイ
 

 小学生の頃、「世界の料理ショー」というTV番組を見ることが、毎週日曜日の楽しみでした。スーツ姿のグラハム・カーが、ワイングラスを片手に滑らかなおしゃべりと軽快なリズムで料理を作っていきます。

 私もお気に入りの江戸切子でうすはりグラスのお猪口を選び、日本酒をいただきながら料理を作ることがあります。さしずめ1人で乾杯! このお猪口は、8分目まで注ぐと約45ml、つまり大さじ3杯の日本酒が入ります。日本酒は飲むだけでなく、調味料としてどんな料理にも使えるので、一口いただいた後に大さじ2杯の日本酒を、2人分のおかずに加えて美味しい一品に変身させます。

 日本酒は煮込み料理に加えると、うまみやコクが煮詰まり、エキス分が凝縮して風味が増します。焼き魚は日本酒をかけてから塩をふって焼くと、驚くほど美しい黄金色の焼き色がつき、香ばしい香りが食欲をそそります。これは日本酒に含まれている糖やアミノ酸が、加熱によってアミノカルボニル反応を起こし、美しい焼き色と風味をつけるからです。また、魚の生臭みのトリメチルアミンは、日本酒をかけると蒸発し、その他の高級アルコールなどで香りが改良されます。
 肉は日本酒をかけて数分置いてから焼くと、ジューシーな仕上がりになります。アルコールが浸透して筋繊維の網目状の結びつきが緩やかになり、その間に水分が閉じ込められて保水性が高まるためです。
 もっと手軽な使い方には、シュウマイや餃子などのお惣菜に日本酒をひと振りしてレンジで加熱すると、油っぽさが消え、味わいが軽くなり、にんにくやにらの臭みが消えます。またチャーハンや焼きそばは炒めた最後に回しかけると、ご飯や麺がふっくらと仕上がります。
 キッチンだけでなく、食卓でも大活躍です。酢の物に加えると味がまるくなり、ケチャップや焼き肉のタレはやさしい味わいになります。ドレッシングは、すっきりした大人の風味を楽しめるので、サラダに伸びる箸が進むでしょう。

 日本酒は糖やアミノ酸、有機酸が含まれているので、料理に加えると、香り、酸味、甘味、うまみ、コクが加わり、隠し味として料理のおいしさを一層引き立たせる便利な調味料です。

 日本酒を加えた美味しい料理を目の前にして、今度は家族で乾杯!
 ― 飲んで美味しい日本酒、食べて美味しい日本酒 ― ですね。

 
 
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