〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
河竹登志夫氏河竹登志夫(かわたけ としお)氏
1924年東京生。早大・共立女子大教授、ウィーン大学客員教授等歴任。現在早大名誉教授・日本演劇協会名誉会長・オーストリア(ウィーン)学士院在外会員・都民劇場理事長・放送文化基金理事長・文化庁芸術祭執行委員会委員長・文化功労者。著書に『比較演劇学』3巻(芸術選奨)『河竹登志夫歌舞伎論集』(恩賜賞・日本芸術院賞)『作者の家』(読売文学賞・毎日出版文化賞)随筆『酒は道づれ』『包丁のある書斎』『人生に食(くい)あり』『背中の背中』等90冊。

ただいま休肝日なし
 

 いつだったか、「タバコはやめてから吸いたいと思ったこともないが、酒は飲みたくないと思ったことがない」と書いたら、うまい表現だとほめられた。まもなく八十四歳だが、休肝日はない。

 十五のとき、やはり酒好きの父が戯れにすすめるまま飲んだのが因果で日本酒の味をおぼえ、高校時代には一升酒になっていた。二十才で敗戦という残酷時代、戦中戦後は新宿のヤミ市や西口横丁で、カストリ、バクダン、合成酒に夜を明かす・・・・・・。よくメチルで死ななかったものだ。

   幼少時は五つまで生きるかどうかといわれた超虚弱児が、人並みに健康になり、今もまあ現役でいられるのは、七十年続けた酒のおかげと、本当にそう思っている。そのへんは拙著『酒は道づれ』(南窓社)に詳述したが、肝臓の数値がどれも限界値の半分以下で全く変らないのが、父の何よりの遺産と感謝している。

 とにかく万事窮乏飢餓時代に人と成った世代だから、飲むも食うも何でもよし。酒も時と所に応じて、日本酒、ワイン、ウィスキー、焼酎、紹興酒、ビール、何でも有り従いだ。だが、少なくとも和食のときは、日本酒が一番なのはいうまでもない。
 それも純米吟醸で辛口の冷酒。大吟醸もいいが特に望まない。米を削りすぎるのが勿体ない気がする上、蔵元の個性にこだわって癖の強いのが少なくない。好き好きだが、私は癖がなくてキリッと強い日本酒が好きだ。

 純米の何たるかも知らず、うちはこれですとアル添大吟醸や本醸造一種しか置かないような”高級料亭”より、北から南までの純米酒をならべた居酒屋がいい。いつまで飲めるかわからないが、百薬の長をやめるわけにはいかぬ。そこで今日も、純米冷酒で乾杯!

 
 
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