〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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中村富十郎氏中村富十郎(なかむら とみじゅうろう)氏
歌舞伎俳優。昭和4年6月4日生まれ、四代目中村富十郎と吾妻徳穂の長男。18年8月、大阪中座「鏡獅子」の胡蝶にて四代目坂東鶴之助を名乗り初舞台。47年9月、歌舞伎座「娘道成寺」他で五代目中村富十郎を襲名。平成2年紫綬褒章、15年旭日中綬章の他受賞多数。重要無形文化財保持者(人間国宝)、日本芸術院会員。20年1月、中華人民共和国 中国藝術研究員名誉教授に就任。20年11月、文化功労者に認定。

お酒の良さ
 

 乾杯とは、まず御目出度い言葉であります。日本酒は、日本人はもとより外国の方々にも愛好されて現在に至っています。

 歌舞伎狂言においても、多くの場面で日本酒を飲むことがあります。私は来年満八十歳、すなわち傘寿の記念となる自主舞踏公演を、五月二十七日に歌舞伎座にて勤めることになっているのですが、その公演にて歌舞伎十八番の内の『勧進帳』弁慶を演じます。
 『勧進帳』の弁慶は、ご見物の皆様はご承知の通り、演目の後半に、関守の番卒よりのもてなしのお酒を一息に飲み干すくだりがあります。その際の盃は能狂言のごとく、かつら桶の蓋で表現致します。格調をもって勇壮に飲み干し、そののち延年の舞を致します。これは日本酒で乾杯をする、もっとも大きな表現でもあります。この弁慶がお酒に酔うくだりは、やはり日本酒の上等な味と香りを表現しなくてはなりません。銘酒で心地よく酔って舞う、ということが先輩からの教えであります。日本酒の持つ何とも言えぬ飲み具合と言いますか、私も八十歳の初心になり、良き日本酒を頂いている舞いを心がけようと存じます。

 
 
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