日本には様々な文化が時代と共に育まれ、今を生きるわれわれに大いなる恵みと喜びをもたらしてくれます。その中でも、間違いなく日本酒は日本文化を代表するものであり、そこには日本人の精神性が大いに反映されています。
日本酒造りには、酒米を蒸すことからはじまり、秒単位での工程が連続して幾つもあり、外国人がこれをしようとしても簡単にできるものではありません。酒造りは米作りからと言われるように、「お米」がとても大切です。過去の歴史を見ても、主食である「お米」がたわわに実らなければ命を永らえる事は出来なかったのです。人の力だけではなく、自然の力、目に見えない大いなる力が絶妙なバランスで重なり合い、初めて日本人の命の源である「お米」が実ります。日本では古より八百萬の神々と表現されるように、森羅万象すべてのものに神が宿ると考えられており、人知を超えた力や自然の驚異に畏敬の念を持ちながら、自然と共に生きて来ました。その恵みの中で得た「お米」に手を加え、自然の力を借りて手間暇かけたものが日本酒です。故に日本酒は「お米」の最終形態であり、日本の「こころ」が形に現れた日本人を象徴する文化なのです。だからこそ、大切な「お米」と「お酒」を先ずは神棚にお供えし、神様とご先祖様に感謝してきました。
われわれ青年会議所は世界組織であり、青年の運動が始まって今年で100周年という記念の年であります。その記念すべき年の世界会議が、本年11月に私の故郷である金沢の地で開催されます。国内外から1万人の仲間が集うこの大会で、日本人が風土の中で大切に育んできた日本の「こころ」や文化と共に、「国酒」ともいうべき日本酒の魅力を世界中から訪れるメンバーにしっかりと伝えていきます。そして、和気藹藹と明るく清々しく杯を酌み交わし、心が通った民間外交が行われることを、心から願っております。
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