〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
茂山千作氏茂山千作(しげやま せんさく)氏
1945年7月6日生まれ。京都府京都市出身。4歳の時「以呂波」のシテにて初舞台。1994年十三世茂山千五郎を襲名。2004年「京都府文化賞功労賞」受賞。2008年「京都市文化功労者」「文化庁芸術祭賞大賞」受賞。
茂山千五郎家の当主として、江戸初期から400年にわたり京都に息づいてきた狂言の普及・継承に勤めてきた。2016年9月18日茂山千五郎家の家督を長男・正邦に譲り、五世千作を襲名する。

酒と狂言
 

 お酒!いいものですね、お酒って!飲む程に心のモヤモヤがファーッと消え失せて心も軽やかになります。
 狂言は中世庶民の生活に密着した芸能ですから、お酒とのつながりは深いのです。

 まず狂言役者から言うと、亡くなった私の父と叔父もお酒が大好きでした。父はビール、叔父は日本酒でしたが二人とも強かったですね。私も若い頃はずいぶん飲みましたが、年令と共にダメになりました。今は息子等世代の全盛期です。

 狂言の登場人物では太郎冠者ですね。彼らは主人に仕えるストレスからか酒に執着する事が多いのです。その執念には脱帽します。

 しかし、「過ぎたるは及ばざるがごとし」「百薬の長」も度を超すと災いのもとになります。「ヤアヤア、いつもこの道は一筋じゃが、今日は三筋にも四筋にも見ゆる。アーリャ、世界が回るわ。回るわ、回るわ。こりゃ一足も引かれぬようになった…」と大道一杯になって寝てしまうほどに泥酔すると、必ず失敗するものです。

 狂言の中での理想的な酒飲みは「地蔵舞」の出家でしょうか。酒を進められると「私は飲酒戒を保ちまするによって酒を飲むことはなりませぬが、吸う吸うと申しては苦しうござりまするまい」となごやかに盃を重ねる、この洒脱な姿に酒飲みの粋が感じられます。

 
 
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