〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
滝沢行雄氏滝澤行雄(たきざわ ゆきお)氏
医師。1932年、長野県生まれ。秋田大学名誉教授、国立水俣病総合研究センター顧問、UNEP環境影響評価パネル委員。専門分野:公衆衛生・環境保健。主著:『1日2合日本酒いきいき健康法』〈柏書房〉、『Osakeテラピーで健康になる本』(BABジャパン)、『メタボとがんに効く魚のチカラ』(同時代社)、『酒粕の凄い特効』(宙出版)など。

健康長寿に寄り添う低アルコール醸造酒
 

 アルコール度数10.5%の清酒が灘郷の「沢の鶴」によって開発された。米と米麹だけの自然の旨みを生かした最適度の清酒で、第32回全国新開発酒部門の第1位を受賞した。
 日本酒は、もろみから搾っただけの状態のアルコール分は20%前後(最低で13.5%)で、市販清酒のアルコール濃度は、15〜16%という規格に基づきほぼ一定にしている。日本酒は糖化とアルコール発酵がバランスよく同時に進み、アルコール分は原料に含まれている糖分の量を超えることはない。
 「沢の鶴 旨み豊富で10.5度」は、天禄の旨み成分を豊富にするため麹使用割合を2倍以上とし、そこで生ずる糖化とアルコール発酵のバランスの変化は発酵温度を低く管理することで解決している。

 日本酒には糖分、有機酸、アミノ酸、ビタミンなど120種以上の栄養素が含まれ、これがお酒の三絶「色・香り・味」を醸している。 この旨みを噛みしめる至福の濃度は、口渇中枢もあまり刺激しない、つまり「和らぎ水」の世話にならない10%前後であろうか。

 アルコールは15〜30%の範囲で胃腸からの吸収が最も速く、10%以下になると吸収が遅くなる。10%では腸管粘膜の内外におけるアルコールの濃度勾配が小さいため吸収の際の拡散速度が遅くなり、血中濃度が持続する。時間が延びれば、酒のほろ酔い気分が楽しいと感知し、食欲は一層増進する。
 健康に飲む適量は、1日2合、アルコール量40グラム程度である。清酒(15〜16%)2合のアルコール量は、「沢の鶴(10.5%)」でみると、約3合で40グラムになる。晩酌の一本が終わり、二本目も終わりに近づくと、つい、一本という気持ちになる向きには、新開発酒は直ちにこの要請に応えるものであろう。

 飲み口が軽く、胃腸や肝臓に負担をかけず、酒の持ち味を楽しむ食中酒として誠に恰好である。『一酌千愁を散らしむ』(杜甫)晩酌をきめ込む今日この頃である。

 
 
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