〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
内館牧子氏手島麻記子(てじま まきこ)氏

東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒。パリでダイニングデザインを学ぶため渡仏。1992年、新しい食スタイルを提案する(株)彩食絢美(さいしょくけんび)を設立。食はコミュニケーションの原点である、をモットーに、日本の伝統的食文化である日本酒の多様な楽しみ方や、食卓演出術の提案をしている。

日本酒スタイリスト(日本酒造組合中央会認証)、テーブルコーディネーター・食文化研究家、日本醸造協会理事、広告電通賞審議会選考委員
著書:「Osakeでスイーツ」(ギャップ・ジャパン)、「12のパリの物語」など 
URL:www.saishokukenbi.com


2013年秋、日本食文化を、世界無形文化遺産へ
 

歌舞伎や祇園祭など、日本には世界無形遺産に登録されている文化が20件あります。
この春、あらたに食の分野の世界無形遺産に、日本として日本の食文化をユネスコへ登録申請することが正式に決まりました。
はじめてそのことを知ったときは、世界無形文化遺産に、食の分野があったとは、と驚きましたが、すでに、フランスの美食術(2010年登録)、地中海料理(同)、メキシコの伝統料理(同)、トルコのケシケキの伝統(2011年登録)が登録されています。

震災以降、日本の食品全般が世界マーケットにおいても風評被害に遭っていることは周知のとおりです。そんな時だからこそ、米を主食とした、各地の自然風土を生かしたバランスのよい食事や、料理や器に日本人独自の感性で四季の移ろいを盛り込み、自然の恵みに感謝しながら頂くという、この素晴らしい日本の食文化を世界にアピールし、無形文化遺産への登録を目指すことは、とても意義深いことであり、日本人のひとりとして、誇りに思うと同時に大きな共感を覚え、その活動を応援しています。

と同時に、この日本の食文化を代表する日本酒が、いよいよ世界により深く理解してもらえる時がきたのだというわくわくとした期待が胸に溢れています。
というのも、私は2000年にイタリアスローフード協会会長のカルロ・ペトリーニ氏の依頼を受け、翌’01,’02年と、まだほとんどの人が本物の日本酒など飲んだことがない、という時代のイタリアへ日本酒を紹介するプロジェクトを手がけたことがきっかけで、日本酒スタイリストとしての仕事を始めることになったからです。
それから早10年余り。時代は変わり、今日本酒は、世界のSAKEとしての道を歩みはじめていますが、伝統的な食文化の壁が厚いヨーロッパにおける、日本酒の輸出量は、アメリカに比べると大変少ないのが現実です。しかし、日本酒に対する、ヨーロッパ人の関心は、クールジャパンのひとつとして、非常な高まりをみせています。昨年秋にスペイン・バルセロナで日本酒のプロモーションを行った際にも、彼らスペイン人の貪欲なまでの日本酒に対する関心には、驚かされました。例えば、こちらが止めるのもお構いなしで、サンプルで持参した酒米を(もちろん生です)食べてしまうのです。「このお米からどうして酒が?」という素朴な疑問が思わずその原料となるお米を口に運んだのでしょう。
試飲時には、ワイングラスに注がれた日本酒を、「日本酒の正式な飲み方は? 回しながら飲めばいいの?」といいながら、グラスをぐるぐると回しはじめた時は、困りました。日本酒の正しい乾杯の仕方についての質問を受けるのも、毎回のことです。
とにかく、彼らにとっては、日本酒を、つまりは日本酒文化を知りたくてたまらないのです。
こうした経験をするたびに、日本酒が、日本を代表する発酵食品ひとつであり、各地の自然風土やそこから生まれる料理と密接に結びついた、郷土文化を象徴するものであること、さらにいえばそもそも日本酒はお神酒であることなどについてを、丁寧にひとつずつ紐解くように、外国人にわかりやすく発信していくことの大切さを痛感します。

2013年、日本食文化の世界無形文化遺産登録へ向けて、「日本酒乾杯推進委員会」の日本酒を愛する私たちとしても、是非日本酒文化を世界に発信する絶好の機会ととらえ、世界無形文化遺産登録達成の祝いの席で、高らかに「日本酒で乾杯!」の盃を皆で交わせることを、願っています。

 
 
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