私は学校が大好きである。何かというと、すぐ学校に行く。独学とか、あるいは本やネットで学ぶとか、そういうことはほとんどしない。知りたいことや学びたいことがあれば、すぐ学校に行く。
小さい時から学校がイヤだと思ったことは一度もなく、教師に反感を覚えたこともなく、その意味ではまったく反体制ではなく、つまらない子供だった。大人になってからも学校好きは変わらず、私は脚本家養成学校に行って書き方を習い、脚本家になったのである。
これにはさすがに、友人知人たちもあきれ、
「小説とか脚本とかって、学校で教わってできるものなの?」
と、さんざん聞かれた。だが、私は本当に学校で習ったやり方だけで、書き続けているのである。
そして、日本酒学校にも行った。老後はお酒を飲みながら、大相撲を楽しむことにしようと決めたのである。全国津々浦々の日本酒を、初場所は燗で、夏場所はキリキリに冷やして、九州場所はヒレ酒で…などと考えているうちに、ここはそうだ、「唎き酒師」の資格を取ろうと決めたのである。「元横綱審議委員で、唎き酒師の婆サン」という老後、もう最強最高ではないか!
かくして、私はせっせと半年間、日本酒学校に通った。かなり、唎く力もつけた。能書きも垂れられるようになり、各地の醸造元を自主的に回り、老後の設計は着々と進んでいた。
が、結局は資格試験を受けぬまま、今に至っている。日本酒の基礎知識と楽しみ方は、学校で十分に教えてもらったし、受験勉強に時間を割くより、盃をかわすことに時間を割こう。そう思ったのである。
しかし今、おいしい肴作りの学校に行こうかしら…と、学校好きの血がまた騒ぎ始めている。
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