〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
山本祥一朗氏 山本祥一朗(やまもと しょういちろう)氏
1935年12月15日、岡山県生まれ。旧本名・洋一。早稲田大学第一文学部西洋哲学科卒業。昭和43年『みちのく酒の旅』(秋田書店)を皮切りに『美酒の条件』(時事通信社)『海外酒事情』(同)監修『焼酎の研究』(中央公論社)『美酒佳肴』(同)『酒飲み仕事好きが読む本』(三笠書房)『日本酒党の視点』(技報堂出版社)など作品51冊のうち酒のテーマが8割。最新刊は文芸書で『親と闘った文豪―昭和の名作はこうして生まれた』(実業之日本社)。

第1回 酒は慈しんでこそ健康にプラス
 
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  日本酒党のネクタイ模様で古今東西の知名士の酒文字をデザインしたもの。7色あり。
筆者のネクタイはエンジに黄色文字。

 幼少の頃に腺病質だった私は、中学2年生の時に1年間休学したほどだったが、後年、酒を飲むようになってからすっかり健康になった。40代のはじめには肝臓疾患に見舞われたが、これは酒の飲み過ぎではなく、精神的に苦悩を重ねていたのが要因だった。主治医の指示による点滴注射と漢方薬の併用で治癒するのは早かったが、その体験は昭和56年の『酒呑みの強肝法』(主婦の友社)に書いた。その後も酒と健康にまつわるエッセイも数多く書いている。私にとっての酒、ことに日本酒は健康にプラスにこそなれ、マイナスになったことは全くない。

 32歳の時に処女作を書いて以来の40年はあっという間の気もする。酒の歴史、酒の造り、酒の市場、酒と文学、酒紀行、酒と健康ほか酒の多くの分野を見てきたが、酒に対する愛おしさはますます募る思いでいる。
 飲酒に際しては「この一杯は大事に飲みたい」という気持を常に抱いている。だからヤケ酒のことなど耳にすると、それは罰当たりだと思う。そんな人は酒から強いしっぺ返しがあるはずである。

 若い頃にはとかく我武者羅(がむしゃら)に突っ走りがちだったが、72歳にもなると身体的に無理が利かないだけにじっくりと物事に対するようになる。酒に対しても同じで、これまでならサッと飲み過ごしていた風味にも、より細やかな関心を向けるようになった気がする。そうすることで自分なりにボケ防止の意識も込めているのだが・・・・・・。

 以下は25年前に書いた拙文である。
「旨い酒の匂いを嗅ぎ、舌でころがし、のどを過ぎていく感触というのはほんの一瞬であり、その瞬間の愉しみには千金の重みがある。そんな時にまず脳裡に浮かぶのは、厳寒の仕込みの最中、眠る時間も惜しんで神経を張りめぐらせている杜氏をはじめ蔵人たちの姿である」(『美酒紀行』時事通信社)
有難いと思って飲めば身体にもいいのである。

 
 
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