〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
家森幸男氏家森幸男(やもり ゆきお)氏
京都大学名誉教授、元来、お酒の飲めない日本人に多い遺伝子タイプ。
1985年以来、WHOの研究を世界で遂行すべく、当時の共産圏では村の幹部から健診継続の許可を得る為毎晩乾杯を重ね、ついに代謝酵素が誘導されてお酒も飲めるように。まさに、遺伝的に脳卒中になるラットでも栄養で脳卒中が予防できると言う「ゲノムプラス」効果をお酒で実証。
「遺伝子が喜ぶ長生きごはん」(朝日新聞出版)など著書多数。

お酒に乾杯!
 

 京都には有名なお酒の神様、松尾大社がある。この神社の鳥居の両脇を守るのは狛犬なならぬ巨大な徳利。毎年全国の醸造家が良いお酒が出来た感謝と、更に良いお酒造りを願ってここに集まるのが「醸の会」である。この会長を京大の岡本道雄元総長から仰せつかったのが、「WHOの研究で世界中のお酒を楽しんだから」と言う理由だった。

 確かに「食と健康」の研究で、1986年に訪れたコーカサス地方では、まさに元気なセンチナリアン(百寿者)の大歓迎を受けた。宴席では最長老が“タマダ”と呼ばれる乾杯(トースト)主(マスター)を務める。それも一回ではない。何度も理由を述べ、杯を重ねるのが秀れたタマダとされる。その横には二番目の長老が次のタマダ役が廻って来るのを待っている。一晩で1000回もの乾杯をやった記録があるとか。とにかく、平均寿命が最高の日本との大きな違いは、元気なお年寄りが多いこと。村人が絶えず集って飲食を共に楽しんでいた。高血圧の殆どなかったマサイ族も理由を付けては、毎晩のように蜂蜜で醸したお酒で乾杯。牛の血入りのヨーグルトで宴席を盛上げていた。

 最近、日本の男性を超して世界寿命No.1となった香港を調べてわかった。男女平均でも今や日本を超えトップの座につきそうな香港では、すぐ近くの広州同様、新鮮な魚介類、野菜、果物、豆腐を日常的に食べ、保存食は口にしないから、塩分摂取はWHOの目標6gに近い。こうした「食の健康」と共に、6階建でもエレベーターの無いアパートに暮らす人々は日常的に運動量が多く「体の健康」にも良い。さらに、お年寄りを大切にする儒教の精神が生きている。狭い香港だからこそ高層アパートの上下階に住む4世代が毎晩大家族の様に食事を共にし、長老が家族に囲まれ楽しむお酒は、まさに百薬の長だ。

 地球を巡り61地域の人々とお酒を酌み交わして親しくなれたからこそ、まる一日の尿が集められ、世界の健康長寿の秘訣が分かった。お酒のお陰だと心から感謝したい。お酒に乾杯!

 
 
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