〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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■平成21年度
「日本酒で乾杯推進会議」総会・フォーラム&パーティー開く

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■フォーラム
●参加者を魅了した『備中神楽』のフォーラム

小沢昭一氏 神崎宣武氏
小沢昭一氏 神崎宣武氏
 『酒と芸能』をテーマに行われたフォーラム〜日本のかたち、日本のこころ〜では、まず、100人委員で民俗学者の神崎宣武氏の解説で、岡山県の「備中神楽」を鑑賞した後、神崎氏と、同じく100人委員の俳優・小沢昭一氏が、芸能、映画、酒などをめぐって軽妙なトークを繰り広げました。
 「備中神楽」は、岡山県西部の農山村で伝承されてきた伝統芸能で、国の重要無形民俗文化財にも指定されている貴重な文化遺産。呪術的(神事的)性格と芸能(歌舞・演劇)的性格の両面を備えている点、熟練した玄人の神楽太夫によって演じられる点、昔の酒造り工程が芸能の中に残されている点など、「全国的にみて類例が少ない、非常に珍しいもの」(神崎氏)とされています。

ユーモラスな松尾明神
ユーモラスな松尾明神
 備中神楽伝承研究会によって演じられたのは、素戔鳴命(スサノオノミコト)が奇稲田姫(クシイナダヒメ)を救うため八保の大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する「大蛇退治」の一場面。はじめに、道化面をつけた滑稽役の松尾明神が出雲から東京までの道中話などを、「政権交代」「地球温暖化」といった時事ネタをまじえながら、太鼓叩きとの掛け合い漫才風に演じた後、酒造りの手伝い役の神々(室尾明神と寄名玉明神)が登場。松尾明神が杜氏役となって、翫摺り唄や数え唄を歌いながら8千石の酒造りを終えるまでが演じられ、参加者の中には、松尾明神のおどけた身振り手振りや昔の酒造りを模した神々の動きに、食い入るような表情で見入る人も。
また、クライマックスの大蛇退治の場では、いくさ支度の素菱鴫命による力強い闘いの舞いに始まって、激しい戦いの後、命が大蛇の首を切り落として退治終えるまで、一連の勇壮な神楽舞が、参加者を深く魅了した様子でした。
神々の酒造り 八保の大蛇杯登場 激しい闘いの末 大蛇を退治
神々の酒造り 八保の大蛇杯登場 激しい闘いの末 大蛇を退治

●神楽の意義、民衆との関わりなどをめぐって対談

 備中神楽の後に行われた小沢氏と神崎氏の対談は、小沢氏の名著『日本の放浪芸』や、小沢氏と神崎氏の連載対談をまとめた『道楽三昧―遊びつづけて八十年』(岩波新書)などの話題から、伝統神楽の問題へと話が展開。「神楽は単なる遊びではなく、村人たちが心の安定を求めるためのものでもあった」(神崎氏)、「自分の代わりに憂さを晴らすという意味もあったのではないか。素戔鳴命が大蛇を退治することは圧政への批判の代わりになった」(小沢氏)など、神楽の多面的な意義、神楽と民衆の関わりをめぐって活発なやり取りが交わされました。

 また、小沢氏は「戦後、元気のない先生たちを慰めるためにフランキー堺や加藤武ら旧制麻布中学の同級生と演芸会を催して、落語の『らくだ』を脚色した芝居をやったことがある。これが現在の文化祭の始まり。雑誌に紹介されて全国の学校に広まった」との興味深いエピソードを紹介。「この中で演じた屑屋で飲んべえの久六の役が役者としての第一歩となったので、お酒には特別な親しみを感じる」と述べたほか、主演映画『越後つついし親知らず』で覚えたという翫摺り唄や、お得意のハーモニカ演奏を披露するなど、旺盛なサービス精神で会場を湧かせました。

 
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