〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
滝沢行雄氏滝澤行雄(たきざわ ゆきお)氏
秋田大学名誉教授。1932年、長野県生まれ。秋田大教授、国立水俣病研究センター所長、水俣市助役を務め、現在介護老人保健施設「ホスピア玉川」施設長、UNEP環境影響評価パネル委員。専門:公衆衛生。主著:水銀、放射線影響など専門書のほか『1日2合日本酒いきいき健康法』〈柏書房〉、『日本酒をまいにち飲んで健康になる』(キクロス出版)、"Sake-Health and Longevity" (Veronica Line Book, Los-Angeles, USA)

従心余生に酒を酌む
 

 気が付けば愚直にも傘寿を迎えてしまった。杜甫は「人生七十古来稀なり」と詠ったが、今では70歳は稀ではなく、わが国の平均寿命は女86.4歳、男79.9歳という長寿である。100歳以上の高齢者はここ45年続けて増加し6万人にも達した。しかし、健康寿命は男女とも70〜75歳であるが、世界一の長寿国になって久しい。

 長寿社会で祝う古稀、傘寿、白寿はそれぞれに1.2倍を乗ずれば、現在の年齢として約85歳、95歳、120歳となる。実歴の傘寿は杜甫のいう「古稀」にあたる。ここに論語の年齢別教訓を紐解くと、古代インド思想の人生の節目「四往期」を組み合わせて七十を「従心の年」とし、心の欲する所に従えども、矩(のり)を越えず」とある。いま傘寿を迎えた私の飲酒は従心年相応というべきか、晩酌2合で愉しんでいる。時に仕事や旅先での一献を酌み交わす酒量はこの限りではないが、私は新潟と秋田において酒だけは十二分に堪能した。これからが、百薬の長たる酒とのほど良い付き合いと思っている。適正飲酒は二日酔いを翌日に残さない量である。この長寿化時代、自分が隠居の身などとの思いはなく、なおも現役の心意気を「食中酒」にゆだねるが、日本酒は食事と一緒に摂るのが良い。うまい肴を合いの手で楽しむ晩酌は従心期の人生訓に適う。

 
 
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