徐福が秦の始皇帝の命で不老長寿の妙薬を求めて旅立ったのは2200年前、二度目の航海で、やっと3千人の若い男女と共にたどり着いた蓬莱の島とされる日本は今や世界一平均寿命の長い国となりました。私共はWHO(世界保健機関)の協力を得て、世界60数地域で健診をし、ついに日本人の長寿を支える食の力を明らかにしました。
「人は血管と共に老いる」と申しますように、二大血管病の脳卒中、心臓死のうち、若くして発症する心臓病が多いと短命になります。先進国の中で日本人、殊に日本の女性は心臓病は先進国の中で最低で、1980年代より長寿No.1の座を保って来ました。そのわけは、心臓死の最大の原因となる血清コレステロールが低い事で、これは米食のお陰です。その上、大豆のイソフラボン、魚のタウリンが24時間尿中で多く、血液で魚由来のDHAの多い程心臓死は少ない事も明らかになりました。これらの成分には、心臓の血管が動脈硬化をおこして詰るのを防ぐ効果があるからです。
しかしながら、平均寿命は男女平均で83才と最高の日本人ですが、自立した生活が出来る健康寿命は、それより10年も短いという酷しい現状があります。それは、寝たきりや認知症の原因にもなる脳卒中が今なお多いからです。脳卒中をおこす高血圧は、塩分の摂り過ぎが原因で、これは日本食の唯一、最大の欠点なのです。
徐福が来日したのは縄文時代の末で、人々は木の実や貝塚の食材からマグネシウムや魚介類からタウリンやDHAを充分摂っていました。これらを摂ると高血圧や高脂血症など生活習慣病のリスクの低い事、塩分の害を防ぐ事も世界調査で分りました。
今や適塩で、ごはん、大豆、魚、それにマグネシウムの多い海藻を食べれば健康寿命も延ばせるのです。実はこの和食こそは、今なお縄文時代の長寿の栄養源が食べられる、急速に進化した人間の遺伝子にもやさしい栄養源であったのです。
このたびUNESCOの世界無形文化遺産に登録された和食こそ、適塩で楽しめば世界一の長寿食と言えます。和食に乾杯! |