鉄道に造詣が深く列車マニアとでもいった宮脇俊三氏は亡くなられた後も、書かれた本はよく売れているようだ。その宮脇氏と『新潮45』(1982年12月号)で旅と酒の対談をしたことがあった。
氏は「列車のゴツンゴツンと感じる振動がたまらない」という。それはまた、私にとって飲みごたえのあるピンの利いた酒が喉を越す心地よさにも通じる。氏はさらに「私の場合は乗るのが目的ですから焦点が移動してしまって少しボヤけたところがあるけど、その点、酒が目的となるとはうらやましいですね。目的を飲みこんじゃうんだから、こんな確かなことはありません(笑)目的が個性的ではっきりしているというのが一番楽しい旅の方法じゃないかと思いますね」とも語っておられた。
いずれにせよ、旅好き酒好き同志の話には際限がなかった。
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