大体、立食(ビュッフェスタイル)のパーティは欠席することにしている。
女優のY・AもM・Aも欠席するそうだ。かりに出席しても、食事をすることはないと言っていた。
たしかに、片方はハンドバックを持っているから片方しか使えない。
それよりも、机の下で私達女性がそれとなくする作業が出来ないのだ。
それは、化粧直しだ。
歯の間に、レタスのかけらが入ってないか口紅ははげていないか。
椅子に座っていると、机の下でさりげなく鏡を出してチェックするし、口紅直しも出来るというものだ。立食パーティーだと、このシークレットリメイクが出来ないのだ。
だから女性は、バックを持ちグラスを持って立つのだ。
立食で困るのは、自分のグラスがわからなくなることだ。
席から席へ動く人は、てきとうにグラスを置いてゆくから、中途半端にビールや酒をのこしたまま、机の上は台所の洗い場のようだ。
私はその机の上のみだれた風景がうれしくないのだ。
席が決っている場合は、当然自分のグラスもわかるし、必要なものしかたのまないので、自分のテリトリーのものをゆっくりたのしめる。
和食の前の日本酒、イタリアンの前のワイン、現実からやさしい非現実の世界への導入が、このお酒なのだ。
勿論、ビュッフェスタイルでもお酒をたのしめるだろうが、私はやっぱり、ゆっくり座って自分のスタイルでたのしみたい。
特に、日本酒は、好みの微妙な味わいはゆっくりした時の流れでこそうれしいものだ。 |